レグテック(RegTech)とは?
意味・活用例・導入手順を
初心者向けに解説

レグテックは、法律やルールに対応する業務を、デジタル技術で支えることです。カード決済の身近な業務を例に、言葉の意味から始め方まで順番に解説します。

規制資料と業務チェックリストを表示したノートパソコンのイメージ。レグテックとは?
目次

    1. レグテック(RegTech)とは? わかりやすく解説

    レグテックとは、企業が法律や規制に対応する業務を、デジタル技術で支えることです。Regulation(規制)とTechnology(技術)を組み合わせた言葉です。「規制対応のための技術」と考えると理解しやすくなります。

    例えば、取引先から書類を受け取り、不足を確認し、担当者が判断して記録を残す仕事。メールや表計算ソフトに分かれていた情報をまとめ、未回答や期限切れに気づけるようにするのも、レグテックの活用例です。

    英国の金融監督機関FCA(Financial Conduct Authority/金融行為規制機構)も、金融サービスの規制上の課題に対応するための新しい技術として説明しています。出典:FCA「RegTech」。

    書類と業務画面を見比べながら確認を進める規制対応チーム
    現場のイメージ 書類を集め、システムで整理し、最後は人が根拠を見て判断します。

    「コンプライアンス」とはどう違う?

    コンプライアンスは、法律や社内ルールなどを守って事業をおこなうこと。レグテックは、コンプライアンスの取り組みを支える手段です。

    2. レグテックとフィンテックの違い

    フィンテック(FinTech)は、Finance(金融)とTechnology(技術)を合わせた言葉です。金融サービスを技術で便利にする広い分野で、レグテックはそのなかでも規制対応に焦点を当てます。

    カフェの店頭でスマートフォンを決済端末にかざす様子
    利用者から見えるフィンテック 便利な決済体験の裏側を、加盟店確認や記録管理などのレグテックが支えます。
    同じカード決済でも、支える業務が違います
    言葉主な目的身近な例
    フィンテック金融サービスを便利にするスマートフォンで支払える仕組み
    レグテック規制に沿った業務を支える決済を利用するお店の調査や、その記録を管理する仕組み

    決済サービスを使うお店を「加盟店」と呼びます。利用者が便利に支払える裏側には、加盟店の確認や安全な運用を支える仕事があるのです。この記事では、カード決済分野を例に解説します。

    3. なぜレグテックが必要? 手作業で起きやすい課題

    規制対応では、確認を済ませるだけでなく、「誰が・いつ・何を根拠に判断したか」を後からたどれることが大切です。書類の置き場所や確認方法が担当者ごとに違うと、引き継ぎや再確認に時間がかかります。

    表計算ソフトと複数の紙資料を照合する担当者
    手作業が増えた状態 情報が複数の場所に分かれると、確認や引き継ぎのたびに探し直す手間が生まれます。

    例えば、加盟店から書類が届いたとき

    回答はメール、確認結果はExcel、根拠資料は共有フォルダ。担当者が休むと「どこまで確認済みか」がわかりません。回答・確認結果・根拠資料を加盟店ごとにまとめれば、別の担当者も続きを確認しやすくなります。

    件数が増えると、未回答の確認、再提出の依頼、期限の管理も増えます。レグテックを検討するきっかけになるのは、会社の規模ではありません。同じ情報を何度も探したり、入力し直したりしていないかです。

    カード決済では、経済産業省のFAQに、加盟店の初期調査・途上調査が説明されています。調査の対象となるのは「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者」です。加盟店と、クレジットカードの取扱いを認める契約を結ぶ事業者を指します。対象となる事業者や調査内容は、自社の立場に応じて確認する必要があります。出典:経済産業省「割賦販売法(後払分野)の概要・FAQ」。

    4. レグテックの活用例:カード決済の4つの業務

    ここでは、カード決済事業者の業務を4つに分けます。以下は仕組みの使い方を説明する例であり、特定製品の導入実績や、すべての事業者に共通する法定手順ではありません。

    01加盟店調査:取引する相手を確認する

    加盟店調査では、お店や運営会社の必要な情報を集めて確認します。KYB(Know Your Business)は、取引先の法人などを確認する手続きを指します。加盟店調査には、法人の確認に加え、カード情報の管理や不正利用対策などの確認も含まれます。

    例えば:質問票を送り、回答のない項目を一覧にし、確認に使った書類を同じ案件に保存します。「回答が届いた」と「担当者が確認を終えた」を分けて管理するのがポイントです。

    詳しくは、加盟店調査の記録管理でつまずく3つのポイントをご覧ください。

    02継続モニタリング:契約後の変化を確認する

    モニタリングとは、状況を継続して確認する取り組みです。契約時だけでなく、契約後の変化に気づき、必要な確認につなげます。

    例えば:確認期限が近づいた加盟店や、苦情が増えた加盟店を確認対象として表示します。通知を出す条件、確認する担当者、対応期限まで決めておくと、気づいても放置してしまう事態を防ぎやすくなります。

    03証跡管理:判断の根拠を残す

    証跡(しょうせき)とは、確認や対応をおこなったことを裏付ける記録です。受け取った書類、確認時の画面、対応履歴などが該当します。

    例えば:「2026年9月7日に担当者が、この提出資料を見て確認した」と記録し、資料と判断を結び付けます。書類が更新されたときも、確認時点の版をたどれるようにします。

    04報告・説明:必要な記録を取り出す

    社内の確認や監査などで経緯を説明するときに、記録を取り出す業務です。監査とは、業務や管理の状態を確かめることを指します。

    例えば:加盟店名で検索し、質問票、担当者の判断、追加対応、完了日を順番に確認します。資料を探す作業が減れば、内容の確認に時間を使えます。

    調査する回答・資料を集める

    変化を確認する期限・要確認事項を追う

    根拠を残す資料と判断を結び付ける

    説明する経緯を取り出す

    4つの業務を同じ加盟店の記録として扱えると、途中で情報を探し直す手間を減らせます。書類を保存する場所だけでなく、業務の流れを整えることがポイントです。

    5. 導入のメリットと注意点

    システムで整理された情報と提出資料を二人で確認する担当者
    人が判断する余白を残す 整理や通知はシステムで支え、根拠の確認や例外への対応は人が担います。

    期待できるメリット

    • 転記・検索の手間を減らせる:同じ情報を複数の台帳に入力する作業を整理できます。
    • 確認漏れに気づきやすい:未回答・未確認・期限超過を見えるようにできます。
    • 引き継ぎや説明をしやすい:特定の担当者に聞かなくても、根拠と経緯を確認できます。

    どの程度改善するかは、元の業務や導入する機能によって変わります。「何%削減できるか」だけでなく、導入前後で同じ作業を測ることが大切です。

    導入だけで解決しないこと

    システムを導入しても、導入しただけで法令対応が完了するわけではありません。確認項目、判断の基準、例外への対応、法改正時の見直しは、自社の業務に合わせて決めます。

    AIを使う場合も、出力をそのまま結論にせず、根拠を確認する手順が必要です。どこまで機械に任せ、どこを人が判断するかを先に整理します。

    6. レグテックの導入手順:小さく始める4ステップ

    STEP 01困っている作業を1つ選ぶ

    「規制対応を全部変える」では範囲が広すぎます。「証跡を探す」「未回答の加盟店に連絡する」など、実際の作業に分けて選びます。

    STEP 02いまの手間を測る

    選んだ作業の件数と、実際に手を動かした時間を記録してください。回答を待つ時間と、自分が作業する時間を分けると、改善点が見えやすくなります。

    計算例:月の作業時間をつかむ

    仮に、資料探しが1件10分で月30件なら、合計300分=月5時間です。これは計算用の仮定です。導入後も同じ条件で測り、新たに増えた入力や管理の時間も含めて比べます。

    STEP 03一部の案件で試す

    担当者と対象の案件を絞り、資料が不足する場合や差し戻しがある場合も試します。通常どおり進む案件だけでは、運用上の困りごとが見えないためです。

    STEP 04担当者と運用ルールを決める

    誰が確認するか、期限を過ぎたら誰に知らせるか、旧台帳への入力をいつ終えるかを決めます。試した結果を見てから、対象を広げます。

    7. レグテックサービスの選び方

    比較するときは、自社で実際に扱う案件を1つ使い、次の項目を確認すると具体的に判断できます。

    • 業務への適合自社に必要な確認項目や承認手順を扱えるか。
    • 記録のつながり回答・根拠資料・判断・改善対応を同じ案件でたどれるか。
    • 権限と履歴閲覧・変更できる人を分け、誰が変更したかを確認できるか。
    • 移行と出力既存の台帳を取り込めるか。解約時に必要なデータを取り出せるか。
    • 費用と支援初期設定・移行・教育・追加機能まで確認できるか。

    個人情報や取引情報を扱う場合は、保存先、外部サービスへの送信範囲、バックアップや削除の扱いも確認します。便利な機能の数と、自社で無理なく使い続けられるかは、分けて考えましょう。

    8. レグテックのよくある質問

    レグテックはAIと同じものですか?

    同じではありません。AIは使われる技術の1つです。あらかじめ決めた条件による通知や、書類と判断をまとめる仕組みなど、AIを使わずに規制対応を支える方法もあります。

    小規模な会社でも導入できますか?

    検討できます。まずは、困っている作業と必要な機能を絞ります。台帳と共有フォルダのルールを整えるだけで改善するなら、台帳と共有フォルダの整理から始めてもよいでしょう。

    Excelで管理していても問題ありませんか?

    Excelを使っているかどうかだけでは、適否は決まりません。必要な記録を残せるか、変更を管理できるか、権限や保存の要件を満たせるかを確認します。更新漏れや二重入力が増えたら、仕組みを見直すサインです。

    導入費用はどのくらいですか?

    機能、利用人数、処理件数、既存システムとの連携などで変わります。自社の対象業務と件数を整理し、初期費用と継続費用を分けた見積もりで比較します。

    ツールを入れれば、法令対応は完了しますか?

    完了しません。ツールは業務を支える手段です。自社に適用されるルールの確認、判断基準の整備、日々の運用、必要に応じた見直しを組み合わせます。

    9. まとめ:まずは「探す・転記する・追いかける」を見直す

    レグテックは、規制対応に必要な確認や記録を、技術で支える取り組みです。カード決済では、加盟店の調査から、契約後の確認、証跡の保存、報告までをつなぐ場面で活用できます。

    まずは「探す」→「転記する」→「追いかける」のなかから、見直したい作業を1つ選びます。

    現状を測り、小さく試し、誰がどう使うかを決めてから広げていきましょう。

    HANAPANA TECHでは、加盟店調査の運用を支えるPay Guardianを提供しています。現在の機能と業務の流れは、Pay Guardian製品サイトでご確認いただけます。

    制度に関する説明は2026年10月1日時点で確認した公的資料に基づく概要です。個別の適用範囲や必要な対応は、最新の法令・所管官庁の案内に照らして確認してください。

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    経産省の法令対応を、誰でも進められる。
    提供中の機能や運用方法は、製品サイトでご確認いただけます。

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    この記事を書いた人

    HANAPANA TECH編集部

    大阪・堺の金融レグテックカンパニー。カード決済の規制対応をシステムで支えています。 規制対応の実務、開発の裏側、社内で試したこと。現場で分かったことを書いています。

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